このような悩みを持っていないだろうか。
・収縮様式の意味が分からない。コンセントリック?エキセントリック?
・どちらを重視すべきか分からない。
・自分のトレーニングにどう活かすか分からない。
この記事ではこれらの悩みを解決していく。
この記事の内容は以下のとおりである。
1.明確な定義と特徴を解説。
2.トレーニングでの実践方法を解説。
この記事を書いている筆者は筋トレを5年間行っており、ボディビルダーを目指し研究と実践を繰り返している筋トレオタクである。またフィットネスクラブでの勤務経験があり、初心者のシェイプアップに成功した経験もある。このような筆者が読者の悩みを解決しよう。
明確な定義と特徴を解説

アイソメトリック収縮「筋肉の出力=負荷」
アイソメトリック収縮とは等尺性収縮とも呼ばれ、関節が動かないように固定する際に働く筋肉の収縮である。アイソメトリック収縮では筋肉の張力は発生するが、筋肉の長さに変化が生じないという特徴がある。アイソメトリック収縮では筋肉の出力と負荷は拮抗しており、筋肉の出力は不可に等しくなる。
例えばデッドリフトを行う際の広背筋は、バーが垂直に挙上されるため、またバーが身体から離れないためにアイソメトリック収縮を行っている。さらにボディビルダーのポージングもアイソメトリック収縮といえる。なぜならボディビルダーのポージングは関節や身体を筋収縮によって固定しているからである。
アイソトニック収縮
骨格筋の収縮様式はアイソメトリック収縮とアイソトニック収縮の二つに分類される。この二つは筋肉の進展収縮が起こるかどうかを基に分けられており。進展収縮が起こる様式をアイソトニック収縮という。
アイソトニック収縮はさらにコンセントリック収縮とエキセントリック収縮に分けられる。
コンセントリック収縮「筋肉の出力>負荷」
コンセントリック収縮は筋肉が収縮しながら発揮される力である。重力に対して力発揮することからポジティブとも呼ばれる。コンセントリック収縮は負荷に力発揮が打ち勝った時に発揮されるため、筋肉の出力は負荷よりも大きくなる。
エキセントリック収縮「筋肉の出力<負荷」
エキセントリック収縮は筋肉が伸展しながら発揮される力である。筋肉が重力による負荷をコントロールする際に発揮されることからネガティブとも呼ばれる。エキセントリック収縮は負荷をコンセントリック収縮できないときに生じる収縮様式であり、筋肉の出力は負荷よりも小さくなる。
トレーニングでの実践方法を解説

真のエキセントリック収縮と偽のエキセントリック収縮
トレーニング理論においては、「エキセントリック収縮=ゆっくり下ろすこと」と単純に捉えられがちである。確かに意図的にゆっくりとしたテンポで重りを下ろすことは、コントロール能力の養成やフォームの改善に貢献するかもしれない。しかしそれが筋肥大に有効かどうかは別問題である。
ここで意図的に挙上速度を変化させた研究を二つ紹介する。筋力トレーニングでの挙上速度について調査した研究は、意図的にコンセントリック収縮時に10秒、エキセントリック収縮時に6秒かけて運動を行った群よりも、コンセントリック収縮時、エキセントリック収縮時共に1~2秒かけて運動を行った群の方がより多くの運動単位が運動に動員されたことを報告している。
筋力トレーニングに使用されるテクニックの効果をベンチプレスで調査した研究では、挙上スピードを意図的に遅くすることは筋肥大に効果的ではないと結論付けられている。
これらの知見は、「ゆっくり下ろすだけの収縮」が筋肥大の決定要因ではないことを示している。
ここで重要になるのが、「真のエキセントリック収縮」と「偽のエキセントリック収縮」の区別である。
- 偽のエキセントリック収縮とは:
コンセントリック収縮が容易に行える負荷で、意図的にゆっくりと動作する収縮のこと。これは筋出力が負荷を上回っており、筋肉が「支配的に動作をコントロールしている」状態である。 - 真のエキセントリック収縮とは:
コンセントリック収縮が困難または不可能な重量において、最大限の出力をもっても挙上できるかわからない負荷に挑戦する局面で生じる収縮。このような状況で筋肉は最大限の抵抗力を発揮しながらも伸張を強いられ、大きな筋損傷を受ける。真のエキセントリック収縮は主にセット後半の限界付近、例えば5レップ目以降に起こるものであり、「ギリギリ挙がる」「下ろされてしまう」という瞬間に生じる。
このように真のエキセントリック収縮は筋肥大において重要で、偽のエキセントリックとは、刺激の質が異なる。筋肥大を狙うなら、真のエキセントリック収縮を重視すべきである。
真のエキセントリック収縮を得るには
ここでは真のエキセントリック収縮を得るためのテクニックとしてフォーストレップ法とチーティングを上げる。
フォーストレップ法はコンセントリック収縮が行えなくなった際に、補助者にコンセントリック収縮を補助してもらい、追加でエキセントリック収縮を対象筋に与える方法だ。
フォーストレップ法は、特に動作の中で最大トルクが発生するところを補助してもらい対象筋を追い込む。これにより自分の筋肉でコンセントリック収縮できない可動域を省略し、真のエキセントリック収縮を得ることができる。
ヒトの骨格筋はコンセントリック収縮よりもエキセントリック収縮のほうが力発揮が強くコンセントリック収縮ができなくなってもまだエキセントリック収縮を行う余力が残っている。この筋肉の特性とフォーストレップ法の相性は良い。
フォーストレップ法は良いテクニックだが、補助者が必要でひとりでは行うことができないという欠点がある。ひとりで真のエキセントリック収縮を得る方法としてチーティングがある。
チーティングは対象筋以外の筋肉や反動を使用してコンセントリック収縮を行い、エキセントリック収縮のみを対象筋に与える方法である。チーティングにより対象筋では行えないコンセントリック収縮を省略し、対象筋の出力よりも大きい負荷を対象筋に乗せることができる。
チーティングは対象筋に強烈なネガティブを与えるためのテクニックで、利点を理解すれば悪いものではない。例えば、サイドレイズで脚の筋肉を利用してトップポジションまでダンベルを挙げる、バーベルカールで下半身を利用してトップポジションに挙げる等は良いチーティングといえる。
ただチーティングはケガを誘発しやすいため注意が必要だ。チーティングは一時的に身体を不安定な状態にするため、限界付近の対象筋が疲労してからのチーティングはケガの原因になりうる。というのもフォームが苦連れた時にそれを修正するエネルギーが少ないからだ。高重量になればなおさらである。
以上のようにフォーストレップとチーティングは真のエキセントリック収縮を得る手段として有効である。筆者はジム友達がいた時はフォーストレップをやりあっていた。実際ナロープレスの使用重量はその時期が一番伸びた。
筆者は最初からフォーストレップやチーティングが必要になる重量の使用は推奨しない。理由はケガに繋がるからだ。あくまでも限界付近までは丁寧に行い最後の1レップで少しだけ使うようにする。
最後に
本記事では、骨格筋の収縮様式の基礎から、筋肥大に直結する真のエキセントリック収縮の重要性について解説た。アイソメトリック(等尺性)やアイソトニック(等張性)といった基本的な分類に始まり、エキセントリック収縮の中にも「真」と「偽」が存在するという視点を示した。
筋肥大を狙う上でフォーストレップ法やチーティングといった応用テクニックの活用は効果的である。この記事を通して読者の悩みが解決できたなら嬉しい。
収縮様式も重要であるが収縮にかける時間によっても効果は変わる。トレーニングテンポについて知りたい人はこちらを参考にしてほしい。
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