このような悩みを持っていないだろうか。
・懸垂のフォームや使われる筋肉が分からない。
・懸垂が1回もできない。
・継続できるか不安。
この記事ではこれらの悩みを解決していく。
この記事の内容は以下のとおりである。
・懸垂のフォームや使われる筋肉が分からない。
・懸垂が1回もできない。
・継続できるか不安。
1.懸垂で使われる筋肉とフォームを解説。
2.段階的な練習法を解説。
3.懸垂が1回できるまでのメニューを解説。
この記事を書いている筆者は筋トレを5年間行っており、ボディビルダーを目指し研究と実践を繰り返している筋トレオタクである。またフィットネスクラブでの勤務経験があり、初心者のシェイプアップに成功した経験もある。もともと筆者も懸垂が1回もできないヒトであったが現在は加重15㎏で8回程度できるようになった。このような筆者が解説しよう。
懸垂(プルアップ)で使われる筋肉とフォームを解説

懸垂で使われる筋肉とフォーム
懸垂では下背(広背筋、大円筋、僧帽筋下部)と腕(上腕筋)が主に使われる。日本ではチンニングの呼び名が定着しているがこれは和製英語である。実際はプルアップという呼び名が正式である。
広背筋を使うためには胸椎を伸展させると良い。逆に身体をまっすぐにし目線を前にすると大円筋をよく使いやすい。これは肩甲骨の位置が上下に変わるからだ。
順手よりもパラレル、逆手の方が懸垂をしやすい。何故なら腕の筋肉をよく使うからだ。実際逆手懸垂は上腕筋を鍛える種目として採用されることもある。
プルアップのフォームや鍛えられる筋肉について簡単に示した。もっと詳しく知りたい人はこちらの記事を読んでほしい。マニアックであるが下背についての知識を網羅している。
段階的な練習法を解説

ラットプルダウン≠懸垂
これは感覚的に理解できるかもしれないが、懸垂1回を目指す人にとってラットプルダウンは懸垂の代用にはならない。なぜならラットプルダウンはいくらでも反動を使うことができるからだ。
ラットプルダウンを引くときに、身体を後ろに倒しながら引く若しくは前に丸まりながら引いてみると重い重量を扱うことができる。後ろに垂れる場合は体重と殿筋群及びハムストリングスの力を使いながらポジティブを行える。まるまる場合は腹筋群と大腿直筋及び腸腰筋の力でポジティブを行える。
これは代償動作と呼ばれるものでテーティングのテクニックそのものである。代償動作を利用して引き切れない重量をネガティブにかけることもできるが、やっていることはネガティブを耐える懸垂と同じであり、懸垂1回を達成するための練習にはならない。
またラットプルダウンと懸垂の相関関係が低いことは諸研究でも示されている。こちらの研究では、ラットプルダウンと懸垂の1RMには中程度の相関がみられたが懸垂とラットプルダウンの反復回数には相関がみられなかったことが報告されている。こちらの研究では懸垂と3つのエクササイズ(ラットプルダウン、アシスト懸垂、床に膝をつくラットプルダウン)が比較され。床に膝をつくラットプルダウンが懸垂と最も似た筋活動を示した。これは最も代償動作が抑制されるからと考えられる。
以上のことから、懸垂1回を目指す人にとってラットプルダウンは懸垂の代用にはならない。
ネガティブ懸垂から始めよう
懸垂1回を目指す場合には、ネガティブ懸垂を取り入れることをすすめる。なぜなら懸垂1回ができない理由を段階的に克服できるからだ。
懸垂1回ができない理由は、「自体重をコンセントリック収縮(=ポジティブ)できる筋力がないから」である。コンセントリック収縮はエキセントリック収縮(=ネガティブ)よりも使用するエネルギーが大きく力発揮が低い。
トレーニングをしているとポジティブはできないが、補助者に挙げてもらうと耐えることはできるという状況にでくわす。これは先の特徴が理由である。この特徴を利用して、ネガティブを耐えることでポジティブができる筋力をつけるという戦略である。
具体的には、ネガティブ懸垂が4秒耐えることができたら、懸垂1回(ポジティブ1秒ネガティブ1秒)できるポテンシャルがあると筆者は考える。これは筆者の経験に基づくので再現性は高くない。
筆者はトレーニングボリュームを考える際に、ポジティブ1秒を100、ネガティブ1秒を30として計算する。この数値はポジティブに使用するエネルギーの30%程度しかネガティブでは使用しないという特徴と、筆者及び他のボディビルダーのトレーニングを一般化することで算出した。
例えば筆者はかつて体重66.8㎏で加重懸垂10㎏を8回(ポジティブ1秒ネガティブ2秒)行った。その時にネガティブオンリー懸垂は15㎏を8回(ネガティブ5秒)できた。前者のトレーニングボリュームは98304で、後者は98160である。
また筆者ではないが自身の限界に近いとあるボディビルダーはレッグエクステンションを90㎏で12回(ポジティブ1秒ネガティブ1秒)行ったり、61㎏10回(ポジティブ1秒ネガティブ4秒)行ったりしていた。どちらも余力無しの全力で行った。前者のボリュームは140400、後者は134200と差は小さい。
以上のことから筆者はポジティブとネガティブは先の数値で処理することでボリューム管理が可能になる。またこの数値で考えると懸垂1回を達成するためにはネガティブ懸垂を4秒耐えられる筋力が必要と分かる。
ネガティブが1秒も耐えられない。具体的には前腕と上腕が垂直になってからボトムまでストンと落ちる場合は、膝を床につけるフォームでのラットプルダウンから始める。これについては後述する。
ちなみにトップならいくらでも耐えられるのでそれはカウントしない。なぜならフリーウエイトは45度から135度の付近でしか負荷が高まらないからだ。

懸垂が1回できるまでのメニューを解説。

分かりやすくするために体重70㎏のヒトを想定する。
ラットプルダウン期間
体重70㎏のヒトがネガティブ懸垂で1秒耐えるために必要なトレーニングボリュームは、70㎏×30×1回で2100となる。
ラットプルダウンを21㎏×130(ポジティブ1秒ネガティブ1秒)×6回くらいをできるようにする。この際全くチーティングを使わないこと。先に示した筆者の記事を参照して、自分の狙った筋肉が動くフォームを崩さずにこのボリュームをこなす。
ネガティブ懸垂期間
次にネガティブ懸垂をする。まず懸垂1回をするために必要なボリュームは70㎏×130×1回=9100である。つまりトレーニングボリュームを7000増やさないといけない。
現在ネガティブ懸垂を1秒耐えられるので、それを2秒、3秒とセッションごとに増やしていく。4秒耐えることができたら次は5秒ではなく懸垂1回に挑戦する。
最後に
ここでは懸垂で使われる筋肉とフォームを解説し、懸垂1回を達成するための戦略と具体的なメニューを解説した。メニューについては各セット2~3セットでレスト2分程度で組むと良い。
懸垂1回を達成するメニューにトレーニングボリュームという概念を使用した。この概念は重要で度のトレーニングでも計画を立てる上で役に立つ。トレーニングボリュームに関して興味があるヒトは筆者の過去の記事を参照してほしい。
トレーニングボリュームの構成要素に関してはこちらを参照してほしい。
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