【筋トレ】セット数オーバーロードを徹底解説【筋肥大の最適化】

このような悩みを持っていないだろうか。

・筋肥大に最適なセット数は結局何セットなのか。

・週あたりのセット数の考え方がわからない。

・セット数に閾値はないのか。

この記事ではこれらの悩みを解決していく。

この記事の内容は以下のとおりである。

1.1セッション当たりのセット数を最適化。

2.週当たりのセット数を最適化。

セット数と筋肥大の関係を理解することは重要だ。なぜなら使用するエネルギーを筋肥大のために効率よく使うためである。ヒトのエネルギー供給は有限である。

以下ではトレーニングボリュームを1セッションと1週間当たりの二つの期間で区切り、各期間でのセット数の最適化を図る。

この記事を書いている筆者は筋トレを5年間行っており、ボディビルダーを目指し研究と実践を繰り返している筋トレオタクである。またフィットネスクラブでの勤務経験があり初心者のシェイプアップに成功した経験もある。このような筆者がセット数について解説しよう。

1セッション当たりのセット数の最適化

トレーニングボリュームには閾値がある

複数の研究を理由に一定のボリュームに達した場合、それ以上ボリュームを増加したとしても筋肥大効果が少なくなることが分かる。

GVTの筋肥大効果を調査した研究では、10セットと5セットのグループに分け、筋肥大や筋力の差を調査した。結果として5セット群も10セット群も筋肥大効果に有意差がなかった。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27941492/参照。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27941492/参照。

German Volume Training(GVT)とは20RMの負荷で10レップ10セット、休憩60秒~90秒の範囲で行うトレーニング法である。

この研究では上腕二頭筋は5セット群の方が10セット群よりも筋肥大している。一方で大腿四頭筋と上腕三頭筋に関しては有意差としては出ていないが10セット群の方が少し筋肥大効果は大きいように見える。これは羽状筋が紡錘状筋と比較してスタミナが大きく、高ボリュームとの反応が良いからかもしれない。

この研究の興味深いところは、10セット群の方がボリュームが大きかったにもかかわらず上記の結果が報告されたところにある。10セットは5セットよりも総ボリュームが増加するので、有意差が生じそうだ。

この研究から、一定のボリュームに達したところで閾値が存在することと、ボリュームと筋肥大効果の相関はセット数が増えるほど弱くなることが推測される。

この研究では、49人の男性被検者を、9セット群(17人)、18セット群(15人)、27セット群(17人)に分け、6週間の間での筋肥大の差を調査した。食餌管理ありで、対象筋は上腕二頭筋、9セット群は週1回、18セットと27セット群では週2回の頻度で行った。

結果として、すべての群で筋肥大効果はあった。9セット群と18セット群、27セット群では筋肥大に有意差はなかった。被験者はトレーニング経験者であった。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30160627/参照。

この研究では9セット群は週1、18セット群は9セット週2回、27セット群はおそらく13~14セット週2回のトレーニングを行った。これで有意差がなかったことは先の研究結果を補強することになる。

またこの研究は週当たりのボリュームにも閾値があることを示唆している。なぜなら週1回9セットと週2回27セットで有意差がなかったからだ。

ただこの研究では参加者は研究外でトレーニングを行うことが許可されていたこと、逆手のラットプルダウンとベントオーバーローイングも上腕二頭筋の種目としてカウントしていた、という制限要員が存在する。そのためこの研究の信頼性は高くない。

1セッション当たりのセット数の考察

ここでは複数の研究を参照して1セッションでのセット数の閾値を考察する。

運動経験のない被検者18人を、1セッション当たり1セット行う群、3セット行う群、5セット行う群に分け、週3回のトレーニングを6か月行った研究がある。この研究の結果は、筋肥大について1セット群よりも3セット群、3セット群よりも5セット群の方が筋肥大効果は高かったことと、特に1セット群に関してはトレーニング前とほとんど変化がなかったことを報告した。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25546444/参照。

この研究から、1セッション当たりのセット数と筋肥大には5セットまで強い相関関係があることが分かる。また各セッション1セットでは筋肥大効果がほとんどないこともわかる。これはボリュームがあまりにも少なすぎるからだろう。

筆者はあまりにも時間が捻出できないときに、メイン1セットで本当に限界まで行うプログラムを3か月ほど行ったことがある。この1セットはレストポーズやドロップといったテクニック無しの純粋な1セットである。

結果として努力の割に筋肥大しなかったこと覚えている。これは先の研究結果のようにあまりにもボリュームが少なかったからだ。一方でフォームを遵守したうえでの使用重量は向上した。1セッション当たり1セットでは神経系の発達は十分にできるが、筋肥大を達成するにはボリュームが足りない。

この研究から「1セット」でトレーニングを終わらすヘビーデューティ法やSSTが効果がないように思われるが、あれらは実質多セット法であり、時短でトレーニングボリュームを稼ぐテクニックが豊富に盛り込まれている。

例えばヘビーデューティトレーニングは8~12RMを1セット限界までやって終わりではなく、そこからレストポーズを何発も入れて、さらに補助者のネガティブを入れるというトレーニングである。レストポーズで3セット、ネガティブオンリーで2セット分の刺激が対象筋に入る。SSTも同様。

この研究では、1セット、2~3セット、4~6セットでの筋肥大効果が調査された。研究結果は、1セットよりも多セットの方が筋肥大効果が40%高かったこと、2~3セットよりも4~6セットの方が筋肥大効果が高かったことが報告された。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20300012/参照。

この研究からも、1セッション当たり5~6セットくらいまではセット数と筋肥大に相関関係があることが分かる。そして筋肥大を達成するための1セッション当たりのミニマムは2セットであることもわかる。

さらにこの研究では、1セットと2~3セットとを比較した際の筋肥大の差よりも、2~3セットと4~6セットとを比較した際の筋肥大の差が小さかったことが報告されている。つまり6セット付近までは筋肥大効果は高くなるが、効果の伸び幅が小さくなることが分かる。

1セッション当たりのセット数

複数の研究に基づいて、1セッション当たりのセット数と筋肥大効果の関係を示すと以下のようになる。

複数の研究を勘案すると、1セッションでの筋肥大効果とセット数の相関関係は2セットから5~6セットの間までは強いが、それ以降弱くなりトレーニング歴に関係なく10セット辺りで閾値を迎えると考えられる。5~6セットまで相関関係はみられるが、強さはセット数を重ねるごとに弱まる。

以上のことから、1セッション当たり各部位5~6セットが多くの人にとって再現性高く効果を出すセット数になる。これ以上セット数を増やすよりも、使用重量やレストの短縮、テンポの増加などを利用してボリュームを増やした方が効果的である。

週当たりのセット数

オーバートレーニングの弊害

セット数を増やしすぎると刺激の割に合わない量の酸化ストレスを組織に与え、筋肥大効率が低下する。

持久系トレーニングを週4回行う5名の男性を被験者に、以前よりも2倍の量のトレーニング(強度は同じ)を2週間実施させ、トレーニング全、中、後、3か月後に血液サンプルを採集した。被験者の年齢は24.8±1.3歳。

結果としてテストステロンレベルは8.68 ± 93 ng/mLから5.37 ± 67 ng/mL に低下した。コルチゾールレベルは145.7 +/- 27 ng/mLから215.3 +/- 31 ng/mLに増加した。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8405526/参照。

この研究から、オーバートレーニングが生殖機能を低下させることが分かる。オーバートレーニングは活性酸素を増加させ、活性酸素が酸化ストレスとして生殖器を含めた身体の各組織の機能を低下させる。

これはテストステロン合成だけでなく回復の側面でも筋肥大を抑制することが分かる。またオーバートレーニングの要因は強度よりもボリュームによることもわかる。

以上のことからボリュームを増やしさえすればよいというわけではないことが分かる。

週当たりのトレーニングボリューム

週当たりのトレーニングボリュームについて調べたメタアナリシスを考察し、最適化を図る。

中ボリュームと高ボリュームが筋肥大に与える影響を比較したメタアナリシスでは、低ボリューム(週12セット未満)、中ボリューム(週12~20セット)、高ボリューム(週20セット以上)の3つのグループに分けられ、大腿四頭筋と上腕二頭筋では中ボリュームと高ボリュームの間に有意差が見られなかった、上腕三頭筋では高ボリュームの方が筋肥大を優位に高めることが報告された。

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8884877/参照。

この研究から、週当たりのセット数は多くの場合12~20セットで閾値を迎えることが分かる。これ以上のセット数を行ったとしても、酸化ストレスに対しての筋肥大効率が低くなる。

この研究と1セッション当たりのセット数の情報を繋げると、週当たりの頻度は1~2回、多くて3回が良いといえる。例えば腕を6セット週2回とか、疲労が回復できるなら4セット週3回のようにプログラムを構成すると良い。

最後に

今回はセット数オーバーロードについて解説した。

筋肥大には1セッション当たりのセット数と週当たりのボリュームに閾値が存在する。研究によれば、1セッションでは2~5セットで筋肥大効果が高く、5~6セットを超えると効果の伸びは小さくなる。また、週当たりのボリュームも12~20セットで効果が頭打ちになり、それ以上は筋肥大効率が低下しやすい。オーバートレーニングにより酸化ストレスが増加し、ホルモンバランスや回復力にも悪影響を及ぼすため注意が必要である。

トレーニングボリュームはセット数のほかに重量や回数などから構成される。

構成要素についてはこちら、重量及び回数に関してはこちら、テンポに関してはこちらを参照してほしい。

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