研究
過剰摂取
タンパク質量と総テストステロン量の関係を調査したメタアナリシスでは、体重×3.4g以上のタンパク質摂取で総テストステロン量が有意に低下することが報告された。
この研究では体重×3.4g以下では総テストステロン量の低下は見られなかった。タンパク質過剰摂取は結果に対しての間接的要因と考えられる。
多くのタンパク質を摂取するために、炭水化物及び脂質の摂取量が制限される。脂質量が制限されることでコレストロールの材料が少なくなるのでテストステロン生合成が抑制される。また低炭水化物がストレスとなあったり、トレ後の回復を遅くすることで、テストステロンのコルチゾールへの変換が亢進した可能性もある。
摂取量の下限
タンパク質摂取と筋力トレーニングによる筋肥大効率の関係を調査した研究では、体重×1.62g以上タンパク質を摂取しても、筋肥大効率に有意差がないことを報告した。
この研究では被験者の行ったトレーニング内容や摂取したタンパク質の内容が明確ではないが、摂取するタンパク質の下限を示唆している。
例えばトレーニングの頻度が高く、一日の多くの時間帯をアナボリック優位で過ごすことができているヒトでは、1体重×1.62g以上のタンパク質をとった方が筋肥大効率は高くなるだろう。
この研究結果が適用できるのは、トレーニング頻度が週2~3回程度のヒトだろう。
ちなみに総摂取カロリーの2~10%タンパク質を摂取する群と、17%~23%摂取する群とを比較した研究では、低タンパク質群では血清テストステロン、FSHレベルなどが有意に低下している。筋肥大を目指していろうがなかろうが、層摂取カロリーの20%はタンパク質を摂取したい。
タンパク質の摂取頻度
トレーニング後のタンパク質摂取量による筋肥大反応の違いを調査した研究では、トレ後25gのタンパク質摂取よりも、100gのタンパク質摂取の方が12時間後の筋肥大反応が高く保たれることが報告された。
タンパク質をいつ摂取したとしても、タンパク質吸収速度とアミノ酸利用効率は個体に依存するということが分かった。
例えば1時間で30個の製品をつくれる工場に、1時間ごとに30個分の材料を5回納品しても、朝一に150個分納品しても、従業員や機械が変わらないので作業効率は変わらないようなことがヒトの体内で起こっているのだろう。
この研究では100gのタンパク質摂取なので、これ以上の摂取で同様の結果が起こるかはわからない。また一度に大量のタンパク質を摂取することは、肝臓や腎臓に負担をかける可能性が示唆される。
いずれにせよ、総摂取量の方が頻度より重要で、吸収速度は個体の状況に依存することが分かる。
食事誘発性熱産生(DIT)
1DITは、カロリーを消費するために消費されるカロリーで、タンパク質のDITは炭水化物と脂質と比較して高い。
これはタンパク質を多く摂取する理由付けになる。
まとめ
①タンパク質は体重×3.4g以上摂取するとテストステロンとコルチゾール分泌に影響を及ぼす。
②体重×1.62g以上のタンパク質摂取は筋肥大を狙う上では必須。
③一日3~6回程度のタンパク質摂取が望ましいが、頻度よりも総摂取量の方が重要である。
筆者は体重×2×2.5g程度摂取するのが、炭水化物や脂質を十分に摂れるので良いと考える。
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参考文献
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