【筋トレ】トレーニングテンポの最適化|ネガティブは何秒?

このような悩みを持っていないだろうか。

・ネガティブは大切だが具体的に何秒やればよいうかわからない。

・トレーニングテンポの違いがどのような効果を筋肥大にもたらすか知りたい。

・筋肥大を最適化する反復を知りたい。

この記事ではこれらの悩みを解決していく。

この記事の内容は以下のとおりである。

1.ポジティブ局面の最適化を解説。

2.ネガティブ局面の最適化を解説。

トレーニングテンポの最適化は筋力トレーニングに再現性を付与するので重要だ。もしテンポの条件がトレーニングごとに異なるなら、オーバーロードの管理が杜撰になる。

例えば前回は9回、今回は12回のスクワットをした時、前回はポジティブ1秒ネガティブ4秒だが今回はポジティブ2秒ネガティブ1秒なら、本当にオーバーロード出来たかわからない。また前回はフルスクワット100㎏8回で今回は10回の時、今回のスクワットの後半5回がパラレルなら、本当にオーバーロード出来たかわからない。

以上のことから、再現性高くオーバーロードを達成するうえで、筋力トレーニングの構成要素(重量、回数、セット数、テンポ)最適化が重要になる。重量と回数に関してはこちら、セット数に関してはこちらで解説しているので、この記事ではトレーニングテンポ、つまり1レップの最適化を図る。最適化は筋肥大において効率的かどうかを基準とする。

この記事を書いている筆者は筋トレを5年間行っており、ボディビルダーを目指し研究と実践を繰り返している筋トレオタクである。またフィットネスクラブでの勤務経験があり初心者のシェイプアップに成功した経験もある。このような筆者がトレーニングテンポについて解説しよう。

ポジティブ局面の最適化

爆発的挙上

ポジティブ局面は爆発的に挙上すると効果的だ。これは仕事率とサイズの原理が理由である。仕事率に関してはこちら、サイズの原理に関してはこちらで解説しているので参照してほしい。

具体的には0~1秒の速度でポジティブ局面を行う。

収縮位で脊柱の伸展が起こりやすい種目は、例外的に1~2秒の速度でポジティブ局面を行うと良い。なぜなら爆発的挙上を意識しすぎると、脊椎過伸展からのケガに繋がるからだ。例えばバックエクステンションやデッドリフトなどのヒップヒンジ種目で、あまりにも速く上体を起こすと、腰椎をケガしやすい。ライイングレッグカールやチェストサポートの無いローイングなども同様だ。脊椎は屈曲角度と比較して伸展角度は小さく、腰椎の伸展角度は15度だ。

以上のことから、基本的には爆発的に挙上するが、脊柱過伸展が危惧される種目は例外である。

レンジ

仕事率を理由にフルレンジが基本になる。しかし個人的な意図がありそれに再現性が見込めるなら、レンジ制限も効果を発揮する。

例えばパラレルスクワットとフルスクワットでは大腿四頭筋の活動に有意差がない。読者の目的が「脚を大きくする」ことならフルスクワットが目的に対してのフルレンジだが、「大腿四頭筋を狙う」ことならばパラレルスクワットが目的に対してのフルレンジとなる。

パラレルスクワットは見た目はパーシャルだが目的に対してはフルレンジだ。レンジについて詳しくはこちらで解説しているので気になるヒトは参照してほしい。

ネガティブ局面の最適化

ボトム

腱の弾性力を理由にボトムは0.3~0.5秒ほど静止すると良い。腱の弾性力についてはこちらで詳述している。

ネガティブ>ポジティブ

ネガティブ局面とポジティブ局面で筋肥大効果に有意差はないと研究では報告されている。

11人の被験者(年齢23.5±5.4歳、身長1.79±0.04m、体重79.1±6.4kg)を、2セット6回ネガティブを速くする群と、2セット3回ネガティブをゆっくりする群に分け、筋肥大効果を比較した。両者のTUTは同じ。

結果として筋肥大効果に有意差はなかった。

https://www.mdpi.com/2411-5142/10/1/4参照。

この研究からTUTが同じなら、エキセントリック収縮とコンセントリック収縮で筋肥大効果に差がないことが分かる。このことは他の研究でも報告されている。しかしエキセントリック収縮を高めた方が同等のレップでも多くのTUTを確保できることも報告されている。

筋肥大目的ならポジティブよりネガティブ局面を重視するほうが効果的だ。なぜなら使用できるエネルギーを効率的に利用できるからだ。

筋収縮にはカルシウムが必要だが、これはポジティブ局面で消費される。骨格筋が限界を迎えるにつれて筋小胞体からのカルシウムイオンの放出が阻害され、筋収縮が阻害され限界を迎える。仮に筋収縮に必要なATPを100%とすると、ネガティブ局面でのATP消費はポジティブ局面の3割程度といわれている。

以上のことから、ネガティブ局面を増やした方が利用できるエネルギーで多くの刺激を筋繊維に与えられる。

ネガティブを享受するためには筋収縮が必要なので、エネルギー消費の観点からもポジティブ局面の爆発的挙上に意味が出てくる。

ネガティブ局面にかける時間

結論として、ネガティブにかける時間は2~7秒の範囲が効果的といわれる。なぜなら複数の研究で8秒以上のネガティブで筋肥大効果が鈍化することが報告されているからだ。

エキセントリック収縮の違いによる結果の比較を行った研究をまとめたシステマティックレビューを以下に示す。

エキセントリック収縮、コンセントリック収縮、1レップ内の筋活動持続時間(MAD)が、筋力、パワー、筋肥大に与える影響を分析したシステマティックレビューでは、トレーニング初心者である場合MADが14秒まで長くても筋肥大が可能であるが8秒を超えると筋肥大率が低下すること、トレーニング経験者の場合4~7秒のMADが適切であることが報告された。

https://journals.lww.com/nsca-scj/abstract/2022/10000/effect_of_repetition_duration_total_and_in.4.aspx参照。

この研究から、トレーニング経験に関わらず1レップにかけるべき時間が最大7~8秒までということが分かる。例えばポジティブに書ける時間を0~1秒とした場合、6~7秒のネガティブがかけられる最大といえる。逆にこれ以上のネガティブは筋肥大効率を低下させる可能性が高い。

以上のことから、ネガティブは2~7秒の範囲に収めることが効果的だ。この際ネガティブを受けることが目的になっていけない。なぜならネガティブを止めるように行うと腱の弾性力を多く使うからだ。

筆者は現実的には2~4秒のネガティブを推奨する。なぜならこれ以上時間をかけるとレンジが足りないからだ。確かに腱の弾性力も使ってネガティブ局面を耐えるならこれ以上耐えられるが、そうでない場合はレンジに対して時間が足りない。例えばフリーウエイトの場合は45~135度の範囲で効果なネガティブを受けるなら2~3秒程度しか受けられないはずだ。カム式でも4秒以上受けようとすると重りがボトムにつくはずだ。

以上のことから、ネガティブに2~4秒かけることを推奨する。

最後に

この記事ではトレーニングテンポの最適化について解説した。

ポジティブ局面は爆発的挙上が効果的だ。これは仕事率とサイズの原理が理由だ。基本的には0~1秒で行うと良いが、脊柱過伸展が起こる種目は1~2秒の速度を推奨する。

基本的にはフルレンジ動作が望ましいが、目的と再現性を確保できるならレンジ制限も効果的だ。

ネガティブ局面は、腱の弾性力を抑えるためにボトムで0.3~0.5秒静止し、筋肥大を最大化するために2~7秒かける。現実的にネガティブに書けられる時間は2~4秒程度になる。ポジティブとネガティブに筋肥大効果の有意差はないが、エネルギー効率の観点からネガティブを重視する方が有効だ。

この記事が読者の悩みを解決できたならうれしい。

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