【筋トレと健康】活性酸素(ROS)が筋肥大と健康に与える影響

このような悩みを持っていないだろうか。

・筋トレによる活性酸素の発生で筋肉や細胞が傷つかないか心配。

・活性酸素を抑える栄養素やサプリメントを知りたい。

この記事ではこれらの悩みを解決していく。

この記事の内容は以下のとおりである。

1.活性酸素が筋肥大と健康に与える影響を解説。

2.活性酸素の過剰生成を防止する方法を解説。

この記事を書いている筆者は筋トレを5年間行っており、ボディビルダーを目指し研究と実践を繰り返している筋トレオタクである。またフィットネスクラブでの勤務経験があり初心者のシェイプアップに成功した経験もある。このような筆者が活性酸素を解説しよう。

活性酸素が筋肥大と健康に与える影響を解説

活性酸素

活性酸素とは酸素からできる反応性の高い分子である。活性酸素は酸化力が高く化学反応を起こしやすい特徴を持つ。

https://www.funakoshi.co.jp/contents/69759#:~:text=%E6%B4%BB%E6%80%A7%E9%85%B8%E7%B4%A0%E3%81%AF%E7%8B%AD%E7%BE%A9%E7%9A%84,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%88%E5%9B%B33%EF%BC%89%E3%80%82より引用。

活性酸素には主に上の画像に示した4種類があり、それらは電子が対になっていない状態のフリーラジカルとそれ以外という分類ができる。フリーラジカルはスーパーオキシドとヒドロキシラジカルがフリーラジカルである。

酸化とは、「細胞が電子を奪われ不安定な状態になること」を指す。活性酸素は細胞を酸化させる作用を持つ。

活性酸素の標的が細菌やウイルスの場合は異物を撃退するメリットがあるが、活性酸素が多く存在すると細菌やウイルス以外の細胞の酸化を促進し、身体が酸化ストレスに晒されることになる。これが活性酸素を抑制するべきといわれる理由である。

活性酸素は紫外線の暴露とミトコンドリアによるATP産出の副産物として体内で生成される。紫外線の暴露は行動次第で回避できるが、ミトコンドリア活動は生きている限り行う必要がある。そのため活性酸素対策は主に除去という方法がとられる。

筋肥大と健康に与える影響

活性酸素の過剰生成は回復の鈍化とアナボリック環境の抑制を引き起こす。これが筋肥大と健康に悪影響を与える。

身体が常に酸化ストレスに晒されている場合、骨格筋の肥大よりも他の組織の修復を身体が優先され骨格筋の回復が鈍化し筋肥大効率が下がる。

例えばアナボリック環境をつくり出すインスリンやGH、IGF-1の受容体は細胞膜に、アンドロゲン受容体は核内に存在するが、過剰な活性酸素が細胞を酸化させることで受容体を含む組織が酸化し、受容体の正常な機能が阻害される。またライディッヒ細胞(特に酸化ストレスに弱い)が酸化ストレスに晒されるとテストステロンの生合成は鈍化するし、ミトコンドリアが酸化ストレスに晒されるとATP生成がが鈍化し身体全体の活動効率が低下する。

以上のことから、過剰な活性酸素は骨格筋の回復速度を遅め。細胞の酸化を通して身体の活動効率を低下させる。そのため活性酸素を除去する施策が筋肥大と健康において大切になる。

活性酸素の過剰生成を防止する方法

オーバートレーニング防止

オーバートレーニングは得られる筋肥大効果に対して発生する活性酸素が大きく、費用対効果が低いため防止する。

高強度トレーニングが男性のHPG軸に与える影響について調査した研究では、正常な精子形成とホルモン生成を有する男性5人に、前回と比較して2倍のトレーニングボリューム(強度の変化はなし)の前、後、トレーニング3か月後の精液と血液を収集した。結果としてテストステロンレベルがトレーニング直後に低下し、コルチゾールレベルが低下した。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8405526/参照。

オーバートレーニングはテストステロンレベルを低下させコルチゾールのレベルを増加させる。なぜならオーバートレーニングにより過剰に活性酸素が生成されるからだ。オーバートレーニングによって回復力が低下し刺激に対して回復が追い付かない状態がつくられる。

現在では1セッション当たり6~10セット、週当たり12~20セットが筋肥大において有効で、多くの人にとって30セット以上では筋肥大効果が頭打ちになることが分かっている。過剰なセット数を重ねることはそれにより得られる筋肥大効果に対して、生成する活性酸素の量が多すぎるので避ける。筋トレ全般に言えるが、more is betterと考えない方が良い。

セット数に関して詳しくはこちらの記事を参照してほしい。

抗酸化物質の摂取

抗酸化物質を過剰摂取することは活性酸素を除去するうえで有効だ。なぜならそれらが活性酸素を還元するからだ。以下に活性酸素が還元される過程(抗酸化作用)を表した図を示す。

https://www.1ginzaclinic.com/anti-aging/lipoic-acid.htmlより引用。

SOD(Superoxide dismutase)はスーパーオキシドを過酸化水素に変換する酵素で、ヒトの体内にはSOD1、SOD2、SOD3が存在する。SOD1は細胞質に、SOD3は細胞外に存在し、それぞれ銅と亜鉛を補因子として含む。SOD2はミトコンドリア内に存在しマンガンを補因子として含む。

例えば亜鉛や銅マンガンを摂取することで細胞内の活性酸素を過酸化水素に変換することができる。亜鉛はテストステロンやインスリンに対しても作用を発揮するので、それらに追加して活性酸素除去にも利用するためには元素として一日50㎎以上の摂取を推奨する。

亜鉛についてはこちらで解説しているので参照してほしい。

NACやビタミンC、ビタミンEやαリポ酸、ポリフェノールの摂取も効果的である。なぜならそれらは過酸化水素を還元するからだ。

SODは活性酸素を過酸化水素に変換する。それらを無害化するためにはNACやビタミンCなどが必要になる。NACやαリポ酸は酸化したビタミンCやビタミンEを還元するという点も優秀だ。

NACやビタミンCの抗酸化作用についてはこちらで解説しているので参照してほしい。

ビタミンCは一日1000㎎以上、ビタミンEは一日100~300㎎の摂取を目指したい。ポリフェノールは一日1000㎎以上の摂取を目指したい。

最後に

この記事では活性酸素が健康および筋肥大に与える影響と対策を解説した。

活性酸素は酸化ストレスを引き起こし、テストステロンやATPの生成を阻害することで筋肉の回復や成長を妨げる。対策としてオーバートレーニングを避けることや、抗酸化物質(SOD、NAC、ビタミンC・Eなど)の摂取が有効である。

この記事が読者の悩みを解決できたならうれしい。

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