活性酸素の概要と筋トレへの影響、対策

はじめに

この記事では、活性酸素とそれの対策について解説する。

健康及び筋肥大のためには、過剰な活性酸素を除去することが望ましい。なぜならそれらが組織の慢性的な損傷を引き起こすからだ。

活性酸素は酸化ストレスとして組織に損傷を与え、それが組織の炎症を引き起こす。例えばライディッヒ細胞が酸化ストレスに晒されるとテストステロンの生合成は鈍化するし、ミトコンドリアが晒されるとATP生成が鈍化し生命活動の効率が低下する。

以上のことから活性酸を除去することが健康及び筋肥大に置いて重要である。

この記事では、活性酸素について解説し、それらが筋肥大にどう影響するか、そして活性酸素を除去するためにできることについて解説する。

活性酸素の与える影響

活性酸素

活性酸素とは、酸素からできる反応性の高い分子である。活性酸素は酸化力が高く、化学反応を起こしやすいという特徴を持つ。

https://www.funakoshi.co.jp/contents/69759#:~:text=%E6%B4%BB%E6%80%A7%E9%85%B8%E7%B4%A0%E3%81%AF%E7%8B%AD%E7%BE%A9%E7%9A%84,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%88%E5%9B%B33%EF%BC%89%E3%80%82より引用。

活性酸素には主に上に画像に示した4種類があり、それらは電子が対になっていない状態のフリーラジカルとそれ以外という分類ができる。フリーラジカルはスーパーオキシドとヒドロキシラジカルがフリーラジカルである。

酸化とは、細胞が電子を奪われ不安定な状態になることを指す。活性酸素は細胞を酸化させる作用を持つ。活性酸素の標的が細菌やウイルスの場合は、異物を撃退するというメリットがあるが、活性酸素が多く存在すると、それら以外の細胞の参加を促進し、身体が酸化ストレスに晒されることになる。そのため過剰な活性酸素を抑制することが求められる。

活性酸素は紫外線の暴露と、ミトコンドリアによるATP産出の副産物として体内で生成される。紫外線の暴露は努力すれば回避できるが、ミトコンドリア活動は生きている限り行う必要があるので、活性酸素抑制戦略をとることは難しい。そのため活性酸素対策は主に除去という方法で行われる。

筋肥大と健康に与える影響

活性酸素の過剰生成は、回復の鈍化とアナボリック環境の抑制という観点から、筋肥大及び健康に影響を与える。

身体が常に酸化ストレスに晒されている場合、骨格筋の肥大よりも他の組織の修復を身体が優先され、骨格筋の回復が鈍化し筋肥大効率が下がる。例えばアナボリック環境をつくり出すインスリンやGH、IGF-1の受容体は細胞膜に、アンドロゲン受容体は核内に存在するが、過剰な活性酸素が細胞を酸化させることで受容体を含む組織が酸化し、アナボリック環境の構築が抑制される。またライディッヒ細胞が酸化ストレスに晒されるとテストステロンの生合成が鈍化し、ミトコンドリアが晒されるとATP産出が鈍化する。

以上のことから、過剰な活性酸素は骨格筋の回復速度を遅め、細胞の酸化と通してアナボリック環境構築を抑制する。

対策

オーバートレーニング防止

オーバートレーニングは、筋肥大と活性酸素の費用対効果が低いため、防止すると良い。

高強度トレーニングが男性のHPG軸に与える影響について調査した研究では、正常な精子形成とホルモン生成を有する男性5人に、前回と比較して2倍のトレーニングボリューム(強度の変化はなし)の前、後、トレーニング3か月後の精液と血液を収集した。結果としてテストステロンレベルがトレーニング直後に低下し、コルチゾールレベルが低下した。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8405526/参照。

オーバートレーニングはテストステロンレベルを低下させコルチゾールのレベルを増加させる。なぜならオーバートレーニングにより過剰に活性酸素が生成されるからだ。オーバートレーニングによって回復力が低下し刺激に対して回復が追い付かない状態がつくられる。

現在では1セッション当たり6~10セット、週当たり12~20セットが筋肥大において有効、多くの人にとって30セット以上では筋肥大効果が頭打ちになることが分かっている。過剰なセット数を重ねることは、それにより得られる筋肥大効果に対して、生成する活性酸素の量が多すぎるので非効率である。more is betterと考えない方が良い。

抗酸化物質の摂取

抗酸化物質を過剰摂取することは、活性酸素を除去するうえで有効である。なぜなら、それらが活性酸素を還元するからだ。以下に活性酸素が還元される過程(抗酸化作用)を表した図を示す。

https://www.1ginzaclinic.com/anti-aging/lipoic-acid.htmlより引用。

SOD(Superoxide dismutase)は、スーパーオキシドを過酸化水素に変換する酵素で、ヒトの体内にはSOD1、SOD2、SOD3が存在する。SOD1は細胞質に、SOD3は細胞外に存在し、それぞれ銅と亜鉛を補因子として含む。SOD2はミトコンドリア内に存在しマンガンを補因子として含む。

例えば亜鉛や銅マンガンを摂取することで、細胞内の活性酸素を過酸化水素に変換することができる。亜鉛はテストステロンやインスリンに対しても作用を発揮するので、それらに追加して活性酸素除去にも利用するためには、元素として一日50㎎以上の摂取を推奨する。

亜鉛がインスリンとテストステロンに与える影響は此方で解説しているで参照してほしい。

NACやビタミンC、ビタミンEやαリポ酸、ポリフェノールの摂取も効果的である。なぜならそれらは過酸化水素を還元するからだ。

SODは活性酸素を過酸化水素に変換する。それらを無害化するためにはNACやビタミンCなどが必要になる。NACやαリポ酸は、酸化したビタミンCやビタミンEを還元するという点でも優先度が高い。

NACやビタミンCの抗酸化作用についてはこちらの記事で解説しているので参照してほしい。

ビタミンCは一日1000㎎以上、ビタミンEは一日100~300㎎の摂取を目指したい。ポリフェノールは一日1000㎎以上の摂取を目指したい。

まとめ

今回は、活性酸素が健康および筋肥大に与える影響と、その対策について解説した。

活性酸素は酸化ストレスを引き起こし、テストステロンやATPの生成を阻害することで筋肉の回復や成長を妨げる。対策として、オーバートレーニングを避けることや、抗酸化物質(SOD、NAC、ビタミンC・Eなど)の摂取が有効とされる。

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