このような悩みを持っていないだろうか。
・脂質は太るイメージがあるが、筋トレ中も摂るべきなのか分からない。
・脂質の「質」による違いが分からない。
・具体的に何をどのくらい摂取すべきか分からない。
この記事ではこれらの悩みを解決していく。
脂質はテストステロンの前駆体であるコレステロールの材料になるとともに細胞膜を構成する。これが脂質を摂取する意味である。筋トレ中だろうとそうでないとしても脂質はとるべき栄養素である。
そして脂質の意味を最大限享受するうえでは飽和脂肪酸ではなく不飽和脂肪酸を優先して摂取するべきである。脂質の「質」は不飽和脂肪酸の方が高いと思って問題ない。
以上で脂質の「質」と摂取意味が理解できた。そのうえで、この記事では健康と筋肥大のためにどのような脂質をどれくらいとればよいかを解説する。この記事を読むことで脂質摂取に再現性が生まれ継続的な健康と筋肥大を実現できる。
この記事を書いている筆者は筋トレを5年間行っており、ボディビルダーを目指し研究と実践を繰り返している筋トレオタクである。またフィットネスクラブでの勤務経験があり初心者のシェイプアップに成功した経験もある。このような筆者が解説しよう。
健康と筋肥大のための脂質摂取
適切な脂質摂取量
全体のカロリーに占める脂質摂取量は、20~30%の範囲に収める。なぜならこの範囲の脂質摂取が他の範囲と比較して遊離テストステロン濃度を高くするからだ。
基準を満たした9つの研究を調査し他ところ、前回のカロリーの40%を脂質から摂取する高脂質食から、20%の低脂質食に変化させることで、遊離テストステロン濃度が10~15%低下することが分かった。
この研究では、脂質摂取量が15%や5%にした群では顕著に遊離テストステロン濃度が低下したことが報告されている。
脂質を過剰に制限することはコレステロール量の低下を意味し、遊離テストステロン濃度低下を引き起こす。一方で脂質を過剰に摂取することは炭水化物量の減少や、オーバーカロリーによる体脂肪率の増加、それに起因するアロマターゼの促進やインスリン抵抗性の増加を引き起こす。
以上のことから、脂質の摂取量は全体のカロリーの20から30%が望ましい。
不飽和脂肪酸を優先的に摂取する
飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸を優先的に摂取するべきだ。なぜなら飽和脂肪酸の増加は遊離テストステロン濃度低下を引き起こすからだ。
23歳から40歳の間の60名の健康な男性(モロッコ人)を対象に、2週間バター25g摂取させたのち、アルガンオイルとエクストラヴァージンオイルにバターを置き換え、血清テストステロン量と黄体形成ホルモン量を比較した結果、血清テストステロンレベルはアルガンオイル群で19.9%、エクストラヴァージンオイル群で17.4%増加し、黄体形成ホルモンレベルは前者で18.5%、後者で42.6%増加した。
この研究は、摂取している脂質に占める不飽和脂肪酸の割合が増えることで遊離テストステロン濃度が増加することを報告している。
筆者は全体の脂質の内60~70%を不飽和脂肪酸から摂取するべきと主張する。例えば全卵1個(55g)は64%、オリーブオイルなら85%の脂質が不飽和脂肪酸で構成されている。このように不飽和脂肪酸を多く含む「質」の高い脂質で食餌を構成する。
ω-6の過剰摂取を控える
ω-6の過剰摂取は控えるべきである。なぜなら過剰摂取が炎症作用を引き起こすからだ。
ω-6の摂取量と酸化ストレスを調査した研究では、32.6 ± 1.7歳の健康な非喫煙男性10名の半分が、4週間にわたり食餌中の5%多価不飽和脂肪酸を摂取し、6週間の休憩期間を経て、4週間にわたり食餌中の15%多価不飽和脂肪酸を摂取した。
結果として多くの不飽和脂肪酸を摂取した群で酸化ストレスマーカーが有意に増加した。
この研究から、ω-6の過剰摂取が酸化ストレスを引き起こすことが分かる。この研究ではマーカーの一つとして酸化グルタチオン濃度が上昇している。グルタチオンは強力な抗酸化物質で、酸化型グルタチオンの増加は体内で多くの活性酸素が発生したことを意味する。
グルタチオンについて詳しくはこちらを参照して欲しい。
炎症がヒトに与える影響について詳しくはこちらを参照してほしい。
ω-6といわれるアラキドン酸及びそれの前駆体であるリノール酸を過剰摂取することで、プロスタグランジンが過剰に分泌され、慢性的な炎症を引き起こす可能性がある。炎症はヒトのにとって必要な反応だが、慢性的な炎症が続くとそれが酸化ストレスとなり組織の活動を鈍化させる。
例えば酸化ストレスはテストステロンを生成する組織の効率を低下させる。実際酸化ストレスと精液のパラメータの相関関係を示す研究も存在する。
以上のことから、ω-6の過剰摂取は控えるべきだ。ω-6を含む食材として全卵やピーナッツバターがあげられる。これらは適度な摂取なら筋肥大及び健康に貢献するが脂質源を全て全卵にするとか、80%をピーナッツバターから摂取するとか、そのような過剰摂取は慢性的な炎症を引き起こすのでおすすめしない。
ω-3を摂取する
ω-3を多めに摂取することを推奨する。なぜならω-3は高い抗炎症作用を持つからだ。
例えば一日5.5gのフィッシュオイル摂取でリウマチが改善されたことを報告する研究が存在する。ω-3は炎症を抑制し炎症によっておこる酸化ストレスを減少させる働きがある。
またω-3を摂取することで、抗炎症作用だけでなくタンパク質合成も促進される可能性がある。
この研究では、健康な25~45歳を被験者に一日4gのLovaza®を8週間摂取させた。結果としてインスリン及びアミノ酸投与時の筋タンパク合成率が優位に増加し、mTOR及びp70S6Kのリン酸化が50%増加した。
この研究で用いられたLovaza®はフィッシュオイルの規格で、1g当たりEPA465㎎、DHA375㎎が含まれている。
この研究に基づくと、ω-3を一日3.4g摂取することでアナボリック効果を享受できると示唆される。
以上のことから、ω-3を一日4g以上摂取することを推奨する。摂取方法としては脂ののった魚やフィッシュオイルが検討される。フィッシュオイルを選ぶ際はDHAとEPAの含有量に注目しよう。
最後に
この記事では脂質の摂取量と「なぜ?」を解説した。
脂質はテストステロンや細胞膜の原料として重要で、総摂取カロリーの20〜30%を脂質からとることが望ましい。不飽和脂肪酸の摂取を優先し飽和脂肪酸の過剰摂取は避ける。
また炎症を引き起こすω-6脂肪酸の過剰摂取を控え、抗炎症作用と筋タンパク合成促進効果のあるω-3脂肪酸を1日約4g摂取すると良い。
この記事が読者の脂質に関する悩みを解決したならうれしい。
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