研究
記事の目的:テストステロン及び筋肥大最適化のための脂質摂取戦略を立てる。
脂質摂取量
脂質摂取とテストステロン合成及びテストステロン量の関係について調べたメタアナリシスを見て、総摂取カロリーに占める脂質摂取量を考察する。
基準を満たした9つの研究を調査し他ところ、前回のカロリーの40%を脂質から摂取する高脂質食から、20%の低脂質食に変化させることで、遊離テストステロン濃度が10~15%低下することが分かった。
この研究から、テストステロン濃度を高く保つためには、全体のカロリーの内20~30%を脂質から摂取することが望ましい。研究では15%や5%にした群では顕著に遊離テストステロンが低下していたので、脂質の過度な制限は望ましくない。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
23歳から40歳の間の60名の健康な男性(モロッコ人)を対象に、2週間バター25g摂取させたのち、アルガンオイルとエクストラヴァージンオイルにバターを置き換え、血清テストステロン量と黄体形成ホルモン量を比較した結果、血清テストステロンレベルはアルガンオイル群で19.9%、エクストラヴァージンオイル群で17.4%増加し、黄体形成ホルモンレベルは前者で18.5%、後者で42.6%増加した。
この研究から、摂取する脂質は不飽和脂肪酸を多く含むべきであることが分かる。例えば全卵1個(55g)は64%、オリーブオイルなら85%が不飽和脂肪酸で構成されている。
ω-6
ω-6の摂取量と酸化ストレスを調査した研究では、32.6 ± 1.7歳の健康な非喫煙男性10名の半分が、4週間にわたり食餌中の5%多価不飽和脂肪酸を摂取し、6週間の休憩期間を経て、4週間にわたり食餌中の15%多価不飽和脂肪酸を摂取した。
結果として多くの不飽和脂肪酸を摂取した群で酸化ストレスマーカーが有意に増加した。
この研究から、多価不飽和脂肪酸の過剰摂取が酸化ストレスを引き起こすことが分かった。例えばマーカーの一つとして酸化グルタチオン濃度が上昇している。
酸化ストレスはテストステロンを生成する組織の効率を低下させる。1実際酸化ストレスと精液のパラメータには相関関係がある。精巣でのテストステロン合成に悪影響を及ぼす可能性が高い。
ω-3
ω-3は高い抗炎症作用を持つ。一日5.5gのフィッシュオイル摂取で、2リウマチの改善を報告する研究が存在する。
ω-3は炎症を抑制し、酸化ストレスを減少させる働きがある。ω-3の効果から考えて、先で紹介した研究では、多価不飽和脂肪酸の中でも、リノール酸及びアラキドン酸の過剰摂取が酸化ストレスを増加させたと考えられる。これらの摂りすぎは酸化ストレスを増加させテストステロン最適化に悪影響を及ぼす可能性が高い。
この研究では、健康な25~45歳を被験者に一日4gのLovaza®を8週間摂取させた。結果としてインスリン及びアミノ酸投与時の筋タンパク合成率が優位に増加し、mTOR及びp70S6Kのリン酸化が50%増加した。
ω-3を摂取することで、抗炎症作用だけでなくタンパク質合成も促進される可能性がある。
この研究で用いられたLovaza®はフィッシュオイルの規格で、1g当たりEPA465㎎、DHA375㎎が含まれている。
この研究に基づくと、ω-3によるアナボリック効果を享受したいなら一日3.4g以上の摂取が必要である。
具体的施策
①不飽和脂肪酸を多く含む食材から資質を摂取する。
②総脂質の70%以上を不飽和脂肪酸から摂取。
③ω-6の摂取量は総脂質の15程度に抑える。
④ω-3を一日3.4g以上摂取する。
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参考文献
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