細胞内液と細胞外液の調整と筋トレへの応用

目的は、ヒトの体液調整方法を理解し、それを筋肥大に応用すること。

生理学

浸透圧とは

https://okke.app/words/p/shMWOjO62dxPuより引用。

浸透圧とは、半透膜を隔てた溶液間の濃度差によって水が移動することで生じる圧力のことである。人の体液を調整している。

細胞内液と細胞外液

ヒトの体重の60%は水分で、体重の40%が細胞内液、20%が細胞外液で、細胞外液内の15%が間質液、5%が血漿である。

https://ph-lab.m3.com/categories/clinical/series/featured/articles/40より引用。

細胞内液と細胞外液を隔てている膜が細胞膜で、体内の外と内の水分量は細胞膜を隔てて浸透圧で調整される。

細胞外液にはナトリウムイオンが多く、細胞内液にはカリウムイオンが多く存在する。つまり細胞外のナトリウム濃度が高い場合、水は浸透圧により細胞内から細胞外へと移動する。逆も然り。

摂取された水分は胃を経由し小腸から血漿に移動し、毛細血管の透過性によって細胞外液に移行する。

応用

トレーニングへの応用

細胞内液が増加すると細胞が膨張する。これは細胞膜が膨張することを意味する。この効果は筋形質肥大に有効である。というのも細胞膜の膨張自身が筋形質肥大のトリガーだからだ。筋形質肥大のために我々は一時的な血流増加による細胞内液の増加、いわゆる「パンプ」を促進させ細胞内液への水分流入を図るが、それに追加してトレ中やトレ後のカリウム摂取が有効に働く可能性がある。

筋形質肥大に関してはこの記事で詳細を解説している。

アナボリック環境への応用

細胞膜の膨張は、アナボリック環境を構築するうえでも効果的と考えられる。なぜなら細胞膜に存在する受容体を活性化させるからだ。

ホルモンは核内に受容体を持つゲノム作用を持つもの(ステロイドホルモン等)と、細胞膜に受容体を持つ非ゲノム作用を持つもの(ペプチドホルモン等)に分類できる。両者の違いは細胞膜を通過できるかどうかで、この違いによって作用発揮までの時間に差が出てくる。

アナボリック環境に貢献するホルモンであるGH、IGF-1、インスリンはペプチドホルモンであり、細胞膜に受容体が存在する。細胞膜の膨張が受容体の分布や感受性に影響を与え、ホルモンとの結合が促進される可能性がある。

ちなみに膜アンドロゲン受容体として、細胞膜にもアンドロゲンと結合するものも存在する。

実践

ナトリウム対カリウムの比率

筋肥大においては、ナトリウムよりもカリウムの摂取量が多い方が良い。比率でいうと1対1.1以上は必要だろう。これを実現するために、あえてナトリウム摂取を少なくする手段も考えられる。

過剰なカリウム摂取(若しくはナトリウム減少)は、ミネラルコルチコイド受容体へのアルドステロン結合のトリガーになり、カリウム排出とナトリウム再吸収が促進される。

過剰なカリウム摂取の基準として高カリウム血症がある。これは血液中のカリウム濃度が5.5mEq/L(5.5mmol/L)以上になっている状態である。これを基準にすると、例えば体重70㎏の場合、血液量は約3.5Lで、血液量3.5 Lに約753 mg以上のカリウムが存在すると高カリウム血症となりアルドステロンの分泌が促進される。

このような作用があるのでカリウムを推奨摂取量よりも多くとってもそんなに問題ないが、この作用に頼りすぎると腎臓に負担をかけるので過信は禁物。

以上のことから、筆者は1対1.5~3くらいの間が良いと考えている。細胞内液も一気に増やすと細胞膜の損傷に繋がると思われるので、摂取量増加は様子を見ながら行う。

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