浸透圧による体液調整とそれの筋トレへの応用

はじめに

この記事では、浸透圧による体液調整と、それの筋トレへの影響について解説する。

浸透圧の観点から、筆者はカリウムをナトリウムよりも多めに摂取するほうが筋肥大を促進すると考えている。なぜなら筋形質肥大を促進するとともに、ペプチドホルモン受容体を活性化させるからだ。以下ではこの理由を示す。

この記事では浸透圧による体温調整と、それらが筋肥大にどう影響するのか、筋肥大におけるメリットを得るための手段を解説する。

浸透圧による体液調整

浸透圧

浸透圧とは、半透膜を隔てた溶液間の濃度差によって水が移動することで生じる圧力のことである。浸透圧はヒトの体液を調整している。

https://okke.app/words/p/shMWOjO62dxPuより引用。

ナメクジに塩を与えるとしぼんでいくことを知っているだろう。あれは浸透圧が理由である。

ナメクジは体内の水分が多く、皮膚はとても薄いため、ナメクジの体内と周囲の環境が半透膜で隔てられていると考えられる。ナメクジに塩を与えると、浸透圧によってナメクジの体表にある水分が塩の濃度が高い外側に引っ張られる。こうして体内の水分が急激に失われナメクジはしぼんでしまう。

ちなみに浸透圧が理由なので、塩に限らず砂糖であっても同じ現象が起きる。

細胞内液と細胞外液

ヒトの体重の60%は水分で、体重の40%が細胞内液、20%が細胞外液で、細胞外液内の15%が間質液、5%が血漿である。

https://ph-lab.m3.com/categories/clinical/series/featured/articles/40より引用。

細胞内液と細胞外液を隔てている膜が細胞膜で半透膜の役割を果たす。体内の外と内の水分量は細胞膜を隔てて浸透圧で調整されている。

細胞外液にはナトリウムイオンが多く、細胞内液にはカリウムイオンが多く存在する。つまり細胞外のナトリウム濃度が高い場合、水は浸透圧により細胞内から細胞外へと移動する。逆も然り。

摂取された水分は胃を経由し小腸から血漿に移動し、毛細血管の透過性によって細胞外液に移行する。

浸透圧の応用と実践

トレーニングへの応用

細胞内液を増やすことは、筋力トレーニングにおいて有効である。なぜならそれがパンプを引き起こすからだ。

細胞内液が増加すると細胞が膨張する。これは細胞膜が膨張することを意味する。この現象はパンプといわれるもので、それは筋形質肥大のトリガーとなる。筋形質肥大のための筋力トレーニングでは、一時的な血流増加による細胞内液の増加、いわゆるパンプを促進させ細胞内液への水分流入を図る。

以上のことから、細胞内液が増えることは、筋形質肥大を促進するため筋肥大に置いて有効である。

筋形質肥大についてはこちらで解説しているので参照してほしい。

アナボリック環境整備

細胞内液が増加することは、アナボリック環境を整備するうえで重要である。なぜなら細胞な駅の増加は細胞膜の受容体を活性化させるからだ。

細胞内液が増加することで、細胞膜が膨張し、細胞膜に存在する受容体が活性化する。

ホルモンは核内に受容体を持つゲノム作用を持つもの(ステロイドホルモン等)と、細胞膜に受容体を持つ非ゲノム作用を持つもの(ペプチドホルモン等)に分類できる。両者の違いは細胞膜を通過できるかどうかで、この違いによって作用発揮までの時間に差が出てくる。

細胞膜にはGH、IGF-1、インスリンといったアナボリックに関係するペプチドホルモンの受容体が存在する。ちなみに膜アンドロゲン受容体として、細胞膜にもアンドロゲンと結合するものも存在する。細胞膜の膨張が受容体の分布や感受性に影響を与え、これらの受容体とホルモンとの結合が促進される。

以上のことから、細胞内液の増加がアナボリック環境の整備に貢献する。

ナトリウム対カリウムの比率

ナトリウムとカリウムの摂取比率を、1対1.1~2.5の範囲に収めることが、筋肥大を促進するうえで効果的になる。なぜなら細胞内液への体液の流入を増加させることができるからだ。

浸透圧の関係から、ナトリウムよりもカリウムの濃度が高ければ、細胞外液から細胞内液へ水分が移動する。この状況は先の比率でのナトリウムとカリウム摂取で実現できる。

先の比率を実現する方法として、ナトリウム摂取量を制限するか、カリウム摂取量を高めるかといったものがあげられる。これらの方法は、ミネラルコルチコイド受容体へのアルドステロン結合のトリガーになり、カリウム排出とナトリウム再吸収を促進させる。

そのため多少多めにカリウムと取ったり、少なめにナトリウムをとったりしても健康上問題はない。ただ過剰になると腎臓への負担をかけるのは事実である。そのため摂取比率を先のように設定した。

例えば過剰なカリウム摂取の基準として高カリウム血症がある。これは血液中のカリウム濃度が5.5mEq/L(5.5mmol/L)以上になっている状態である。これを基準にすると、例えば体重70㎏の場合、血液量は約3.5Lで、血液量3.5 Lに約753 mg以上のカリウムが存在すると高カリウム血症となりアルドステロンの分泌が促進される。

以上のことから、筆者は1対1.5~2.5の範囲でナトリウムとカリウムを摂取することを推奨する。

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