脂肪分解のメカニズムを解説。

はじめに

この記事では、ヒトでの脂肪分解のメカニズムについて解説する。なぜなら、メカニズムを理解していないと脂肪燃焼に対する適切な戦略や施策を練ることができないからだ。

ヒトの脂肪燃焼は大きく3つに分類できる、体脂肪(トリグリセリド)を脂肪酸とグリセロールに分解する段階、脂肪酸をミトコンドリアに運搬する段階、ミトコンドリアで脂肪酸からATPを生成する段階である。この記事ではこれらの各段階がどのようにして起こっているかを解説する。

脂肪燃焼のメカニズム

体脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解するまで

血糖値の低下を主として、運動、寒冷刺激等が脂肪燃焼のトリガーとなる。なぜなら、それらの刺激がカテコールアミンの分泌を促進するからだ。

カテコールアミンは脂肪細胞の受容体に結合することで、脂肪分解を促進するホルモン感受性リパーゼ(以下HSL。)が体脂肪に作用を発揮するようになる。

体脂肪は脂肪滴という組織で構成されており、脂肪滴は、まるで植物の細胞壁のように、ペリリピンという膜タンパク質に覆われている。

ペリリピンによって体脂肪にHSLが常に作用することが抑制される。カテコールアミンが脂肪細胞の受容体に結合すると、アデニル酸シクラーゼが活性化しcAMPを増加させ、プロテインキナーゼA(タンパク質リン酸化酵素。以下PKA。)が活性化する。PKAはペリリピン及びHSLをリン酸化させそれらの構造を変化させる。こうして脂肪滴を覆っていたペリリピンのガードがはがれ、HSLが体脂肪に作用する。

以上のメカニズムで体脂肪が加水分解され、脂肪酸とグリセロールに分解される。

https://www.mdpi.com/2227-9717/7/12/881より引用。

脂肪酸がミトコンドリアに運搬されるまで

脂肪酸がミトコンドリアに運搬されるためには、リポタンパク質の形成と、カルニチンとの結合が必要になる。なぜなら、脂肪酸はそのままの形で血管及びミトコンドリアを通過することができないからだ。

脂肪酸はそのままの形では血管内を移動できないので、タンパク質と結合してリポタンパク質を形成する。

その後細胞内に吸収された脂肪酸が細胞質内にナイルと補酵素と結合しアシルCoAとなる。アシルCoAはミトコンドリアの内膜を通過することができないので、カルニチンと結合してミトコンドリア内膜を通過してマトリックスに入る。その後アシルCoAはカルニチンとの結合を解き、β酸化の準備を開始する。

以上のメカニズムより、脂肪酸がミトコンドリア内に運搬されるためには、リポタンパク質の形成とカルニチンとの結合が必要になる。

β酸化からクエン酸回路まで

ミトコンドリア内に運搬された脂肪酸は、β酸化を通してアセチルCoAに変換される。β酸化とは、アシルCoAからアセチルCoAを生み出すことで、アシルCoAのβ位の炭素を遊離して酸化反応を行うことが名前の由来である。

https://kusuri-jouhou.com/creature1/beta-oxidation.htmlより引用。

β酸化を通じて生成されたアセチルCoAは、クエン酸回路の原料になる。クエン酸回路では、アセチルCoAを二酸化炭素と水に分解しながら、ATPを生成する経路である。

https://basishealth.io/blog/know-your-power-source-the-bodys-three-energy-systemsより引用。

ここまでが脂肪燃焼、つまり体脂肪がATPに変換されるまでに起こっている一連の流れである。

ちなみにクエン酸回路はATPを生成するだけでなく、プロトンという物質を産出する。これが電子伝達系で酸素と結合し水に代謝される過程で多くのATPが生成される。クエン酸回路の目的はそれ自身によるATP生成よりも、電子伝達系の材料産出にある。

まとめ

今回は脂肪燃焼のメカニズムについて解説した。脂肪燃焼は、①体脂肪の脂肪酸とグリセロールへの分解、②脂肪酸のミトコンドリアへの運搬、③ミトコンドリアでのATPを生成、の3段階に分けられる。

カテコールアミンがHSLを活性化し脂肪分解を促進し、脂肪酸はリポタンパク質やカルニチンと結合し運搬後、β酸化でアセチルCoAに変換され、クエン酸回路を経てエネルギー産生に利用される。

次回はこのメカニズムに基づいて、脂肪燃焼を促進するための具体的施策について解説する。

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