はじめに
この記事では、脂肪燃焼メカニズムに基づいた、具体的施策を解説する。なぜなら、メカニズムに基づいていない場合、再現性が低いからだ。
脂肪燃焼とは、トリグリセリドを脂肪酸に分解し、ATPを生成する過程である。ATP生成過程で熱を産出するため脂肪燃焼といわれている。脂肪燃焼がどうやって起こるかは決まっているので、その過程を促進させれば、多くの人が利用できる再現性の高い施策を示すことができる。
脂肪燃焼のメカニズムについては以下の記事で解説しているので参照してほしい。
具体的施策
寒冷刺激を与える
コールドシャワーや、温冷交代浴といった寒冷刺激を一時的に身体に与えることが、脂肪燃焼に効果的である。なぜなら、寒冷刺激はカテコールアミンであるアドレナリン及びノルアドレナリンを放出するストレスとなるからだ。
体温が低下したとき、視床下部が寒冷刺激を受け取る。その後交換神経を介して刺激が副腎髄質に伝達し、アドレナリン及びノルアドレナリンの分泌が促進される。これらが分泌されることで、肝臓での代謝が亢進したり、心臓の脈動が増加したりする。また脂肪細胞の受容体に結合し、脂肪燃焼が促進される。

ただ寒冷刺激はストレスなので、視床下部の放出ホルモンの分泌も促進し、コルチゾール分泌を促進する。コルチゾール自体は異化に必要なホルモンなのだが、過剰分泌は避けたい。
以上のことから、コールドシャワーや温冷交代浴といった一時的な寒冷刺激への暴露を採用する。
最大心拍数の60~70%の有酸素運動を実施する

最大心拍数の60~70%の有酸素運動は、脂肪燃焼を促進する。なぜなら、この範囲の心拍数での有酸素運動が有酸素系のエネルギー供給系を活性化させるからだ。
脂肪酸をATPとして利用するエネルギー供給系は、β酸化とクエン酸回路である。これらの供給系はクレアチン及び無酸素解糖系と異なり、酸素を必要とする点で有酸素系といわれる。そして有酸素系は最大心拍数の60~70%の運動で支配的になる。こうして脂肪をエネルギーとして消費する状況をつくることができる。
1ちなみにヒトの最大心拍数を5段階に分け、この範囲は2段階目なので、「Zone 2 training」と言うらしい。
以上のことから、最大心拍数の60~70%の範囲での有酸素運動を推奨する。
食間を4時間程度空ける
食間を4時間空けることが、安静時の脂肪利用を促進する。なぜなら、食間を開けることで血糖値が低下する状況をつくることができるからだ。
カテコールアミンの分泌を促進するトリガーとして血糖値の低下がある。血糖値の低下が起こる状況としては、運動時と安静時がある。
健康なヒトの糖質摂取後の血糖値は、15~60分程度でピークを迎え、次第に下降、150分で空腹時と同程度に戻る。これは摂取する糖質食品にあまり影響されない。また、糖質摂取後のインスリン濃度も15~60分程度でピークに達する。空腹状態では、血中グルコース濃度は100ml当たり80~90㎎程度であり、この程度の濃度ではインスリンの作用はほとんど発揮されない。
https://www.chegg.com/homework-help/questions-and-answers/4-graph-figure-4-shows-changes-blood-glucose-concentration-meal-b-c-d-ief-1-1-1-1-1-1-1-1–q76631136より引用。食後の血中グルコース濃度を表したグラフ。
食後約150分後から次の食事までの間に、血糖値が低下することでカテコールアミンが脂肪細胞に結合し、ヒトの身体が脂質をメインのエネルギー源として利用する(=脂肪燃焼)ことが分かる。
脂肪をエネルギーとして利用するためには、最低150分以上は食間を開けることが良いだろう。また食事で摂取されたグリコーゲンは、食後4時間後程度で骨格筋や肝臓に貯蔵されるか、エネルギーとして利用されるといわれている。
https://www.futurelearn.com/info/courses/understanding-insulin/0/steps/22456より引用。グルコース消費と生成の時間経過を表したグラフ。
以上のことから、食間を4時間程度空けることで、安静時の脂肪燃焼効果を維持することができる。
カルニチンの摂取を検討する。
有酸素運動前や空腹時に1000㎎のカルニチンを経口摂取することで、脂肪燃焼を促進することができる。なぜなら、カルニチンが存在しないと脂肪酸をミトコンドリア内に運搬することができないからだ。
カルニチンについてはこの記事で解説しているので参照してほしい。
ちなみにカルニチンは経口摂取よりも皮下注射や静脈注射の方が生体利用率(Bioavailability)が格段に高い。ただこれらの手法はいわゆるドーピングとして扱われるので注意が必要である。ここでいう注意は健康面ではなくスポーツマネジメントの面での注意である。
酸化ストレスを除去する
酸化ストレスを除去する施策は、脂肪燃焼効果の抑制を阻止する。なぜなら、酸化ストレスがミトコンドリアの炎症を招き、ミトコンドリアの機能を低下させるからだ。
ミトコンドリアを含む細胞は酸化ストレスとそれに伴う炎症によって機能を低下させる。具体的には亜鉛と銅を10対1の割合で摂取し活性酸素を無害化する。またビタミンCを一日1000㎎以上、ビタミンEを一日100㎎以上摂取することで過酸化水素を酸素と水に還元する。余裕があればNACとセレンも同時摂取し、酸化したビタミンCとEを再び活性型に還元させる。
マグネシウムを一日450㎎以上摂取する
マグネシウムを一日450㎎以上摂取することは、ミトコンドリアの機能を促進するうえで効果的である。なぜなら、マグネシウムはATPの生成に置いて活性酵素として働くからである。
マグネシウムについてはこの記事で解説しているので参照してほしい。マグネシウムミトコンドリア以外の組織でも活性酵素として使用されるので、それらの作用に追加してミトコンドリア内での作用を享受するためには、一般的な基準量よりも多めに摂取するように心がける。
サプリメントで摂取する場合には、酸化マグネシウム以外を摂取しよう。というのも酸化マグネシウムの吸収率は4%と非常に低いからだ。筆者はグリシン酸及びビスグリシン酸マグネシウムを推奨する。なぜなら吸収率が80%程度と高いからだ。
まとめ
今回は脂肪燃焼のメカニズムに基づいた具体的施策について解説した。寒冷刺激(コールドシャワーや温冷交代浴)はアドレナリン分泌を促進し、脂肪燃焼を加速させる。最大心拍数60~70%での有酸素運動は脂肪をエネルギー源としての利用を促進し、食間を4時間空けることは血糖値を低下させ脂肪燃焼を助ける。カルニチン摂取は脂肪酸のミトコンドリアへの運搬を助け、酸化ストレス除去やマグネシウム摂取がミトコンドリア機能を向上させる。
最後に当たり前であるが、基本的に脂肪燃焼は消費カロリー>摂取カロリーという状況でないと発生しないと思ってもらって問題ない。有酸素運動を増やすか、マクロ管理が基本中の基本である。この記事の施策はこれらの基本中の基本ができていて効果を発揮する。
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参考資料
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