このような悩みを持っていないだろうか
・パワーリフティングとボディビルの違いが明確に分からない。
・自分に合ったトレーニングスタイルが分からない。
この記事ではこれらの悩みを解決する。
この記事の内容は以下のとおりである。
1.パワーリフティングとボディビルの違いを明確に解説。
2.ボディビルトレーニングの推奨理由と気を付けることを解説。
この記事を書いている筆者は筋トレを5年間行っており、ボディビルダーを目指し研究と実践を繰り返している筋トレオタクである。またフィットネスクラブでの勤務経験があり、初心者のシェイプアップに成功した経験もある。このような筆者が読者の悩みを解決しよう。筆者は読者の目的は筋肥大やシェイプアップであると想定している。そのためボディビル的トレーニングを推奨する。
パワーリフティングとボディビルの違いを明確に解説

両者の目的の違い
結論として、パワーリフティングとボディビルディングはトレーニングの目的が異なる。なぜなら競技が美徳とする要素が異なるからだ。
パワーリフティングの目的は絶対的重量の向上にある。一方でボディビルディングの目的は除脂肪された状態での骨格筋量の向上、つまり筋肥大にある。
パワーリフターもボディビルダーも方法としてジムに行きトレーニングをするが、両方のトレーニング方法は外から見ると似ているが内容は異なる。トレーニングに限った話ではなく、物事は目的が変われば方法異なる。
仕事率からアプローチの違いを解説
パワーリフターとボディビルダーのトレーニングの違いは力学の仕事率の観点から分析できる。
ボディビルディングの目的は仕事率を高めることで達成される。一方でパワーリフティングの目的は使用重量の増加で目的が達成される。両方の違いを解説する上で必要な式を以下に示す。
・トレーニングボリューム=セット数×レップ数×負荷(≒仕事率)
・仕事率=仕事量(力×移動距離)÷時間
ボディビルの場合は、移動距離を大きくするためにフルレンジを採用する。そして時間を短くするために爆発的挙上を行う。爆発的挙上にはⅡ型繊維の動員という利点もあるが、仕事率の観点からも利点がある。
一方でパワーリフティングの場合は先の式の力(=使用重量)の数値を高めることが目的になる。そのため移動距離は限りなく小さくし、ゆっくりと挙上することが求められる。これはパワーリフティングの美徳が絶対的重量の向上にあるからだ。
例えばベンチプレスはパワーリフティング種目の一つだが、パワーリフティングでは高いアーチを組む選手がほとんどである。なぜならパワーリフティングではバーと胸が接触することがルールで、アーチを高く組んだ方が接触するまでの距離が短くなるからである。
一方ボディビルディングで過度なアーチをベンチプレスで組む人ははほとんどない。なぜならボディビルディングにとっては可動域を縮めることは基本的にデメリットだからだ。
https://www.youtube.com/watch?v=FOq5hqqSkQ0より引用。絶対的重量を究極に追求したベンチプレスでは移動距離は限りなくゼロに近くなる。ちなみにゼロベンチは少し前に禁止されたはずだ。筆者はこの時パワーリフティングに矛盾を感じた。
筋腱複合体に基づく力発揮の違い
ヒトの力発揮は、腱と骨格筋が連動して行われる。腱には弾性力という力があり、腱と骨格筋の二つの性質を合わせて筋腱複合作用といい、腱と骨格筋を一つの構造とみる考え方を筋腱複合体という。
詳しくは筆者の記事を見てほしいが、腱の力を使わない方が骨格筋の動員は増えると思ってもらって構わない。
パワーリフティングの場合、腱の弾性力も利用して絶対的重量を挙げていくことになる。これはレンジ中にアイソトニック収縮を行い、腱を骨格筋の収縮で伸ばして弾性力で挙げるといったことを表す。そしてこのようなテクニックを使うと挙上速度が遅くなる。
ボディビルディングでは力発揮が腱で行われては意味がない。ボディビルディングでは腱の弾性力を消失させて骨格筋のみで力発揮をするように心がける。ポジティブとネガティブで0.5秒ほど止めて爆発的挙上を行うといったテクニックが考えられる。
ボディビルトレーニングの推奨理由と気を付けることを解説

ボディビルトレーニングを進める理由(※個人の感想)
筆者はボディビルディングを実践しており、パワーリフティングには取り組んでいない。そのため、ここで述べる内容は筋肥大を目的とする人に向けた私見であり、パワーリフティング志向の方には参考にならないかもしれない。
とくに、シェイプアップや見た目の改善を目的に筋トレを始めた初心者には、ボディビル的なアプローチを強くおすすめしたい。その理由は、パワーリフティングを極めていくと「いかに可動域を減らし、腱や関節の力を使って高重量を扱うか」という方向に進むからである。
このようなアプローチは、競技としては理にかなっているが、関節や腱への負担が大きく、ケガのリスクも高まる。つまり、一般人にとって取り入れやすいトレーニングとは言いづらいのだ。
一方でボディビルトレーニングは、筋肉への刺激を最大化することに焦点を当てており、安全性と効果を両立しやすい。そのため、「筋肉をつけたい」「身体を引き締めたい」と考える初心者には、まずボディビルの考え方に基づいたトレーニングを取り入れることをすすめたい。
使用重量を絶対と思わない
筋トレ初心者の中には、「使用重量=大きさ」と考え、使用重量を過剰に追い求めるヒトがいる。確かに重量倭使えることは筋肥大の指標だが、正確には「骨格筋を最も使う条件下」での使用重量向上である。この条件はすでに解説している。
ジムでよく見かける光景として、仲間同士で集まってウォーミングアップもせず、いきなりベンチプレス台に向かい、バウンドさせながら無理に高重量を挙げようとするヒトたちがいる。彼らは「重量が重いほど偉い」という思考を持つ傾向にある。
しかし読者の目的が筋肥大やシェイプアップなら、このような考え方は捨てるべきだ。筋肥大で重要なことは仕事率を高めることである。筋トレは見栄の張り合いではなく、身体に刺激を入れる手段ということを忘れてはいけない。
簡単に言えば「エゴリフト(自尊心のための無理な高重量トレーニング)」はやめようということだ。
最後に
この記事ではパワーリフティングとボディビルディングの違いを仕事率の観点から明確に解説し、筋トレ初心者にはボディビルトレーニングを推奨する理由を解説した。この記事を読むことで両方の違いを理解できた。もし読者がトレーニングスタイルに悩んでいるなら、筆者はボディビルスタイルを推奨する。
実際に各部位をどうやってトレーニングするかに興味を持ったヒトは筆者の「部位別トレーニング」カテゴリーの記事を読んでほしい。キャッチではないが読者のトレーニングに貢献することを約束しよう。
トレーニングプログラムの立て方に関しては筆者の「トレーニング生理学」カテゴリーの記事を読んでほしい。トレーニングプログラムに関して必要な知識を曖昧さ無しで解説している。
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